竹とんぼを作ろう!
テキスト&イラスト 藤沢 泰二

難易度 ★★★
このテキストは、下馬鳩ぽっぽ保育園に木工の講師として来ていただいている藤沢泰二さんの手によって作成されたテキストを、HP用に再編集したものです。
1. 竹とんぼはどうして大空に舞い上がるのだろう?(原理)
自分で作った竹トンボが大空に舞い上がるのは中々気持ちの良いものです。
竹トンボが飛んで行くにはそれなりの理屈があるはず。それを無視して形だけ作っても、うまく飛ばないのものです。そこでまず物の道理、つまり物理学から竹とんぼを考えてみましょう。考えていくとどうやら3個ぐらいの法則が関わっているようです。
1) 慣性の法則……いつまでも竹トンボを回転させたい
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じっと頑張って止まっている大きな岩はいつまでもそこに止まっています。しかしいったん力を加えて動かすと今度は止めるのに苦労します。つまり、重い物ほど動かし難く止め難いのです。フライホイル(弾み車)もこの法則で動いています。
他にも電車に乗っていると慣性の法則を実感する事があります。止まるときに体が今まで進行していた方向に持ってかれそうになるのがそうなのです。
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2) 作用と反作用の法則……竹トンボを舞い上がらせる大きな力
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大きな岩を押しても岩は動きません。(図1)もっと力を入れて押しても岩は動きません。思い切り頑張ってムキになっても岩は動かない。それどころか押せば押すほど手は痛いし腰も痛くなるのです。あたかも岩が押し返しているように…。少しむずかしいけれど、もうちょっと考えてみましょう。
仮に(図2)のように、空中に置いたななめに傾いた板を右の方へ動かすと、板の面に直角の(a)の方向に空気は押されます。するとこの力と方向が反対の大きさが等しい反作用を受けます。(a)の力は動かそうとした方向(x)とそれに直角の方向(y)とに分けられます。(x)の反作用は板を止める力すなわち抵抗になり、(y)の反作用は板を持ち上げる力となります。板は立てれば抵抗の方が大きくなり、寝かせれば持ち上げる力が減るのです。
ああーいたしかいしだなー。ちょうど良いところがありそうです。
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3)流体力学(ベルヌーイの定理)……もっと飛ばす縁の下の力持ち
昔むかしある所にベルヌーイさんが住んでいました。この人は「流れている空気や水は、速く動くほどその圧力が小さくなるのだ」と言いました。これが有名な「ベルヌーイの定理」です。
(図3)のような形の物を動かすと上を回る空気と、下を通る空気があります。同じ時間にまっすぐ近くを通るのと遠くを回るのとでは、遠回りをしたものが速く走らなければならないわけです。(遠回りするやつは馬鹿だなー)・・・つまり上を回る空気の方が速い。それに対してベルヌーイさんは言いました。「上の方が圧力が小さいよ」と。
この上下を通る空気の圧力の差が竹トンボを持ち上げる縁の下の力持ちなのです。
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以上の考えから竹トンボの形を考えると、
1)から余りにも軽い(薄い)と空気の抵抗に打ち勝って回す事が出来ないので、ある程度の厚みがいる。
2)から回転翼(ローター)はある程度の傾きがいる。
3)の縁の下から力を出してもらうためにローターは上を丸く、下をまっすぐした方がよい。
そこで(図4)のような形がよさそうだ。

2. さあ、竹トンボを作ろう!(製作)
……☆☆ お断り ☆☆……
「竹工作は初めて」という人にも何とか作っていただけるようにと考えて書いてみました。その為工具の使い方なども少ししつこい説明になってしまっているかも知れません。出来る人達にはつまらなく思われると思いますが、必要なところだけ読んで下さい。
また、ここに書かれたやり方は筆者の作っているやり方にすぎません。これが全てではないので自分なりのもっと良いやり方で、楽しみながら作っていただければ幸いと思います。
◆ 竹トンボの材料選び(前準備) ◆
さあ、いよいよ竹トンボを作ってみましょう。
まず、材料取りをする事と、工作に必要な工具を準備しなければならないのです。
1) 工具の準備
工具はどんなものがいるか考えてみると…
- 竹を切るノコギリ
- 割るためのナタ
- 穴をあけるキリ
- 削るためのナイフ
- その他あれば便利な、サンドペーパー、瞬間接着剤など
2) 材料取り
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竹トンボが飛ぶ原理からその形を考え、その形を作り出すにはどんな竹がよいかというと、できるだけ長方形の四角い板のような材料がよいのです。しかし竹は丸いものです。そこで、できるだけ太い肉厚の竹を選んで下さい。(図5)
竹は縦に目が通っています。この為に基本的には横はノコギリで引き、縦はナタで割ります。 |
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【1】 竹を節のない筒に切り出す
選びだした竹の節の無いところを使うので、ノコギリで節の少し内側を切り、丸い筒のようなものをまず作ります。作業台の端に竹を置き、手でしっかりと押さえて切って下さい。(図6)切り始めの位置は鋸の歯に手の親指の爪を当てて引き始めるとうまく切れるはずです。竹は皮の方を大切に扱いたいので、一方から全部切り落としてしまわないで、最後の少しは竹を回して、反対側から切って下さい。このようにすると、皮がめくれないようになります。 |
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【2】 切った竹筒を半分に割る
まず丸い筒をナタで縦に半分に割ります。ナタの刃を割ろうとする位置に当て、竹と同時に上に持ち上げて、作業台や大きな木のブロックに勢いよく竹のお尻をうち付けます。(図7)うち付ける瞬間に竹を持っている手を放すとナタで手を切らないですみます。ナタの背中を金槌でたたく人がいますが、ナタの背がめくれるので余り良くないと思います。どうしてもナタをたたく時は、木槌を使って下さい。工具は手の延長、大事に使いたいものです。 |
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【3】 更に割って2〜3cmにする
更にもう半分に割ります。その次は、幅2〜3cmになるように割って下さい。ナタの刃を割る位置に当てて、軽くトントンと打ち、ナタの刃が竹に少し入ったら、ナタを押しつけるようにして左右にひねるようにして割ります。(図8)このとき竹は刃に直角になるようにしかりつかむと良いです。また割ったばかりの竹は角が尖っているので竹で手を切らないように、竹を持っている手を滑らさないように注意すると良いのです。
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【4】 軸になる竹を作る
同じ竹か、もう少し肉の薄い竹でも良いですが、軸用に幅5mm程度に割ります。肉薄の竹はナタで割ろうとするとしなってやりにくいので、ナイフを使って割って下さい。作業台の端に竹を置き、割ろうとする位置にナイフの刃を当てて、ナイフを押さえつけながら、ナイフの背中を反対の手で(手が痛いときは木槌で)たたくか、ぐっと押さえつけます。刃先が竹に入ったら、ナイフを押しつけるようにして左右にひねるようにして割ります。 |
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【5】 プロペラ用に長さを調整する
上の(3)で作った竹材を長さ10cm程度に切ります。作業台の端に竹を置き、手でしっかりと押さえて表(皮の方)から切って下さい。 |
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【6】 切り口を四角になるように角を削る
つぎに割ったばかりの竹は、割り口が斜めになっているので、出来るだけ四角形になるように、ナイフで角を削ります。(図9) |
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これで材料は何とか出来ました。長さ約10cm、幅約2cmの板状の竹と、長さ約20cm、5mmの角棒のような軸の竹が手元に有りますか。(図10)

3. 竹トンボの製作(プロペラと軸)
材料が出来たらいよいよプロペラの部分をナイフで削り、軸を作って差し込みます。どんなのが出来るか楽しみですね。
4. 竹への考察ともう一つの竹トンボ
1) 竹への考察(細くて肉の薄い竹しかない場合)
材料取りのところで「長方形の四角い板のような材料がほしいので、できるだけ太い肉厚の竹を選んで下さい」と書きました。しかし、竹にはそう我々の都合の良い『太くて、肉の厚い』竹が手に入るとはかぎりません。『少し細くて、あまり分厚くない』竹しか無い・・・そんな時には竹トンボを作ることを、諦めてしまわなければならない・・・なんて言ったらつまらないですよね。
肉薄で細めの竹でも何とか出来ないものでしょうか?
さあ、いっしょに考えてみましょう。なぜ太くて肉厚の竹が欲しいのか?をまず考えます。出来た竹トンボを竹の先端から見たところを想い浮かべて下さい。ある程度以上傾いていなければ、作用−反作用の法則によって、得られるはずの大きな浮力は与えられません。細めで肉薄の竹では、プロペラをひねったような傾きのある形には出来ないのです。
もう一度竹の先端から見たところを想い浮かべて下さい。プロペラの幅を同じにして考えます。太くて肉厚の竹で作った竹トンボの底の面の角度と、細めで肉薄の竹で作った竹トンボの角度とを比べてみます。細めで肉薄の方が角度が小さくなってしまいます。そこで細めで肉薄のままで竹の丸みにそって、太くて肉厚の竹の方と角度が同じになるように、ずらしていって見てください。左の方に少しずれせば、角度が大きくなります。(図20)そこで細めで肉薄の竹で作る時には、全体を真っ直ぐにしないで、腰をひねったような形にすれば良いことが判ってきます。
2) もう一つの竹トンボ作り
細くて肉薄の竹しかないが、それでも作ってみたい時にもなんとかなるようにと、願いながら考えていきます。
そこで、軸の固定された普通の竹トンボも作ることは出来るのですが、今度は、軸から離れてプロペラだけが飛んで行くものにしてみました。
準備する工具としては・・・
- ノコギリ
- ナタ
- キリ(三つめキリ)または4mm位のドリル(少し大き目の穴を開けたいから)
- ナイフ
- その他あれば便利な、サンドペーパーなど
材料取りを考えましょう。前とほぼ同じなので、詳しくは前のやり方を参照して下さい。
(1) 竹を節のない筒に切り出す
選びだした竹の節の無いところを使うので、ノコギリで節の少し内側を切り、丸い筒のようなものをまず作ります。
(2) 切った竹筒を半分に割る
まず丸い筒をナタで縦に半分に割ります。
(3) 更に割って3〜3.5cmにする
更にもう半分に割ります。その次は、幅3〜3.5cmになるように割って下さい。細くて肉の薄い竹のために、腰をひねった形にしなければならないので、少し幅を広めに割っておきます。
(4) 軸になる竹を作る
同じ竹で良いですから、軸用に幅2〜2.5cm程度に割ります。先を二又に削ってプロペラだけを飛ばすようにする為です。幅については、後でプロペラに開けた、2つの穴の幅より少し広めにする必要があるので、プロペラに穴を開けた後で、軸用の材料を考えた方が良いのですが、一応順序としてここに書いておきます。
(5) プロペラと軸用に長さを調整する
上の(3)で作った竹材を長さ10cm程度に切ります。(4)で作った軸用の竹は18〜20cm程度に切ります。
(6)切り口を四角になるように角を削る
つぎに割ったばかりの竹は、割り口が斜めになっているので、プロペラ用も軸用も、出来るだけ四角形になるように、ナイフで角を削ります。
これで材料は何とか出来ました。長さ約10cm、幅約3cmの板状の竹と、長さ約 20cm、幅約2cmの軸用の竹が手元に有りますか。
材料が出来たらいよいよプロペラの部分と軸をナイフで削り、製作に取り掛かります。
さあできたぞー!飛ばしてみよう!
プロペラを軸に差し込んで思いっきり速く回転させ、最後にいきなり軸の回転を止めるのがこつです。軸を手に残したままでプロペラだけが大空に舞い上がります。 |